今読んでいる論文が結構面白く、それの背景を少し書いてみることにします。同じ形をした蛋白質が寄り集まって複合体を作っている時、これをホモ多量体と呼びます。このホモ多量体に基質が相互作用すると、ちょっと面白い事が起こることがあります。
もし、ホモ四量体であれば、リガンド(以後では基質も含めてリガンドという語を使います)がそれぞれの単位に付きますので、複合体合計で4個のリガンドが付くことになります。この時、この単量体の単位をプロトマー(サブユニット)と呼びます。
面白い現象というのは、協同性(cooperativity)です。正の協同性を持つ場合、複合体にリガンドが付けば付くほど、より付き易くなります。逆に付いているリガンドが減れば減るほど、どんどん離れ易くなります。このように極端な変化を急に起こすように出来ているわけですが、この協同性があるお陰で、ある種のスイッチ的な働きを持つようになります。
さて、どのような仕組みでこのような協同性を生み出しているかですが、それには、プロトマー同士の寄り集まり方(四次構造)が大きく関係しています。その四次構造の変化を表す代表的なモデルとして協奏的モデルがあります。
協奏的モデルでは、あるプロトマーにリガンドが付いて構造が変わると、他の全てのプロトマーの構造も一斉に変わります。あるいは、プロトマー自身の構造はあまり変わらずに、相対配置(四次構造)だけが大きく変わる場合も多いです。この場合、全てのプロトマーは全体として対称的に配置されていなければなりません。
また、リガンドが付く前からすでに T と R 状態の間を行き来しています(交換しながら平衡に達しています)。そして、リガンドが安定な方を選びます。そのため、このメカニズムは population selection などとも呼ばれています。
協奏的モデルにおいて、リガンドが R 状態の方に付き易いとします。これはつまり、R 状態での親和性が大で、 R 状態での複合体が安定だということです。T 状態にリガンドは付き難いので、どんどんリガンドの付いた R 状態の数が増えていきます。そして、全てのプロトマーが一斉に R 状態に変わるので、2個目、3個目のリガンドは、どんどん増えていく R 状態にますますくっ付いていくことになります。
そのため、必然的にホモ(同種)の正の協同性が起こり、同種の負の協同性(homotropic な negative cooperativity)(リガンドが付くと、次は同種のリガンドが付き難くなる)が起こる条件がありません。
今日は短くこのぐらいにしましょう。さて、画像もアップするのはどうすれば良かったのでしょう?
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