2018年6月24日日曜日

生きた博物館

過去に何かの記事で NMRBox を紹介しましたが、また改めて。

これは NIH からのサポートを受けている一種のクラウドシステムです。サーバにはいろいろな NMR に関するソフトがインストールされています。たいへん興味深いことは、もう古くなって使えなくなってしまったようなソフトもそこでは生(活)きていることです。もちろん今でも優秀なソフトはどんどん開発されてはいますが、どうしても新しいトピックスをテーマとしたソフトとなってしまっており、いわゆる古典的な機能をもったソフトが、気が付いたら消滅してしまっているということがよくあります。しかし、この NMRBox ではそのようなソフトが使えるのです。まるで博物館です。

また、non-uniform sampling で測定した4次元データなどは、プロセスするのも大変です。そもそも私のところも Windows-XP の古い PC などを Cent-OS linux などに使い回しているものですから、四次元 NUS をプロセスするとなると今でも大変です。さらに PC も古くなってくると、突如として壊れます。もうこの半年で3台が去ってしまいました。なんとかデータだけは Puppy を使って幸運にも救出できてはいるのですが。一方、NMRBox には NMRPipe の IST や Smile がありますし、メモリーも H/D も豊富に備えていますので、そのような資源について心配する必要はありません。つい先日まで四次元 NUS の Smile によるプロセスが自分の PC ではメモリー不足でうまく行かなかったのですが、やっと NMRBox でうまくいきました。

また、夜帰宅してからでも週末でもプロセスの続きを見たり、ピークを帰属することができます。実際にプロセスしているコンピュータはきっと NIH にあるわけで、そのディスプレーを Real VNC viewer を使って見ていることになります。家でも職場でも出張中でも講演中でも NMRBox にアクセスできるということは素晴らしいことです。

ちょっと変わった使い方ですが、環境のセットアップをうまく出来ない人がいた時に、こちらで NMRBox にログインして環境を整えてあげることができます。例えば、連鎖帰属に必要な全ての3次元4次元スペクトルをまず関連付けます。二次元 HSQC のピークをクリックすると、自動的に3次元4次元の対応するピークに飛んでいくように設定しておきます。その後でその人がログインすれば、もうすでに帰属のための環境は整っていますので、後は実際の帰属作業に集中してもらうことができます。これまでは、わざわざその人の PC のところに行って環境を整えていましたので、それが出来る時間が何かと限られてしまっていました。4次元を何個もセットアップしようとすると何日も通わないといけませんでした。しかし、今は自宅からセットアップできます。また、担当者が代わっても、次の人は環境をそのまま引き継ぐことができます。面白いことに2箇所から同時にログインすると、他者の作業の状況をリアルタイムで見ることができます。まあ、同時に同じピークをピックしないように気を付けないといけませんが。。。。ちょうど OneDrive や GoogleDrive を他人と共有しながら、一つの Word ファイルを同時に編集しているような感じになります。

惜しい点は、どうしても画面を日米間で転送するので、ちょうど国際電話をかけている程度の時差が生じてしまう点です。1秒以内なのですが。vi でテキストファイルを編集していると、どうもカーソルが1秒ほど遅れて着いて来るため、希望する行を行き過ぎることが多いです。まあこの辺りは仕方がないですね。

できれば、Cyana, MagRO, Topspin も入っていれば言うこと無しなのですが。Topspin はどうしても立ち上がらず、管理者に問い合わせたら、ちょっとしたミスマッチでもう少し待って欲しいとのことでした。期待したいと思います。Bruker さん、どうかよろしくお願いいたします。

1時間程前にスタートさせた四次元 NUS のプロセスが順調に進んでいるようです。それでは明朝の結果に期待して、そろそろお休みしたいと思います。もちろん私の PC の電源は切ってもプロセスは続きます。zzzZZZZ

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