細菌の蛋白質では、単量体は 1/5 程しかなく、それに対して同じサブユニット二つから成る同種二量体はその2倍の4割近くを占めています。
下記の論文は、最初なちょっと意味が取りにくかったのですが、なにげなく分かってくると、すごい事が書かれているなあという感じです。読みながらメモっているうちに、随分と長くなってしまいました。
Kim, T.H., Mehrabi, P., Ren, Z., Sljoka, A., Ing, C., Bezginov, A., Ye, L., Pomes, R., Prosser, R.S., and Pai, E.F. (2017) The role of dimer asymmetry and protomer dynamics in enzyme catalysis. Science 355(6322). pii: eaag2355. doi: 10.1126/science.aag2355.
フルオロ酢酸の脱フッ素反応を触媒する脱ハロゲン酵素(FAcD)の apo 体の結晶構造によると、二つのサブユニットの構造はほんの少しだけ違ったそうです。その違いは二量体の相互作用面と活性部位にあり、一方は open 型で基質を受け入れられる構造をとり、もう一方は closed 型です。そして、実際に基質が open 型に付くことが、滴定実験での NMR の化学シフト値の摂動から分かります。そして、反応経路を模倣したいろいろな変異体の結晶構造が作られましたが、これらには基質が片方にしか付いていません。これらの結果から、この酵素は half-of-the-sites 反応、つまり、一つ目の求核置換反応が起こるまでは、二個目の基質はもう一方のサブユニットに結合できないような仕組みになっていることが分かりました。
フルオロ酢酸の脱フッ素反応を触媒する脱ハロゲン酵素(FAcD)の apo 体の結晶構造によると、二つのサブユニットの構造はほんの少しだけ違ったそうです。その違いは二量体の相互作用面と活性部位にあり、一方は open 型で基質を受け入れられる構造をとり、もう一方は closed 型です。そして、実際に基質が open 型に付くことが、滴定実験での NMR の化学シフト値の摂動から分かります。そして、反応経路を模倣したいろいろな変異体の結晶構造が作られましたが、これらには基質が片方にしか付いていません。これらの結果から、この酵素は half-of-the-sites 反応、つまり、一つ目の求核置換反応が起こるまでは、二個目の基質はもう一方のサブユニットに結合できないような仕組みになっていることが分かりました。
紅色非硫黄細菌の FAcD の酵素反応は極めて遅く、1分間に2個程度しか(turn-over)反応を進めません(また不思議なことに、どんなにたくさん基質を入れても1個ずつしか生成物ができないのです。二量体ですので、同時に二つの生成物が偶然にでも出来てきても良さそうなものですが。そのため、なぜ二量体になっている必要があるのだろう?と不思議に思われていました)。Freeze-trapping x 線結晶構造解析法(FTX)を使えば、時分割のデータが取れます。酵素反応を開始させてから(結晶を基質の溶液に漬けてから3分以内での)いろいろな時点で結晶を凍結させて、その時点での反応状態に留めてしまうのです。ちょうど漫画本の各ページを作り、後でそれらのページをパラパラと連続してめくると、「反応」という名の動画ができ上がるのと似ています。すると、二つのサブユニットが非対称的に、しかしお互いに相関し合いながら動いていく(左側のサブユニットがある構造をとると、右側はそれに対応して異なる構造ではあるが特定の構造をとる)ことが分かりました。ただし、時系列に並べることは難しいと読めるような記述があります(リガンドが結晶構造に浸透していく過程は確率的であり、必ずしも時系列に並ぶとは限らないためでしょうか?この辺りはあまり詳しくなく、どうもすみません)。
ラチェット機構?
また、今回の手法には NMR が使われてはいますが、このような時分割 X 線結晶構造解析が見せつけたその威力には脱帽です。ペラペラ漫画の各ページは X-線が描き、それらのページを順番通りに並べ、ページがめくられていくスピードを NMR が割り出したといった感じでしょうか?時分割 time-resolved X-ray 云々をサーチすると、SACLA の自由電子レーザの話がたくさん出てきます。10 億倍もの輝度?1フェムト秒以下のパルス(千兆分の1秒で合ってる?)すさまじい技術ですね。
また余計な話になってしまいますが、Seydoux の preexistent asymmetry モデル(1973, 1974)というモデルがあります。このモデルではヘテロで相互作用が無く、親和性の異なる結合サイトが最初から想定されているので、今回のようなホモ多量体は当てはまらないのかもしれませんが、これを広く解釈すると、ホモ多量体でも異なる親和性をもつ結合部位が apo 状態ですでに複数あるということになります。そのような酵素が見つかった、そして教科書に載っては後で否定されて消えていってしまいましたが、なにげなく実際にたくさん存在するのではなかろうか?と思わせてしまうところがあります。これの検出はすこぶる難しく、サブユニット間で構造が速く交換してしまっていると、NMR では化学シフトが平均化されてしまい、非対称であることが検出の窓にかかってこないのです。つまり、各サブユニットからのピークが重複しているからといって必ずしも apo で対称形であると断言してはいけないことになります。正確には化学シフトの slow-exchange の時間スケールで見る限りにおいて対称形である(fast-exchange で非対称形がお互いに入れ替わっている可能性は否定できない)といった変な結論になります。
Probing dynamic asymmetry and
protomer exchange during catalysis から
興味深いことは、これの二次元 1H-15N HSQC を測るとスペクトルがどのように観えるかです。基質を滴定していくと確かに化学シフトが変化していくのですが、apo でも holo でもピークは一重に観える、つまり、二つのサブユニットは常に対称形をとっているように観えたそうです。これは NMR にとってはちょっと悲しい結果ですが、二つの違った構造(A, B)が速く交換していると、NMR ではその平均としての一つの構造だけが観えるのです(二つの化学シフト値が平均化されてしまい、ピークが二つに分かれない)。非常にゆっくりと交換している、あるいは A, B 構造それぞれに固まってしまっていると、2種類のピーク(結果として2種類の構造)が観えたのでしょう。一応、A-B 構造と B-A 構造の間の交換速度を 400 /sec と見積もっています。もう少し遅くないと、二つのピークに別れないですね。
A 構造と B 構造での化学シフト値の差が大きければ、同じ交換速度でも見かけ上 slow-exchange の現象に近づきます。そこで、化学シフトの範囲が 1H/15N よりも広い [19F]-Trp が導入されました。しかし、それでも2本のピークに分かれるまでには至らず、その代わり 19F-CPMG での dispersion がはっきりと現れました(15N-CPMG では、数残基の例外を除いて、あまり大きな dispersion が観られなかった)。つまり、ピークが分かれてくれる程の遅さではないが、二つの 19F 化学シフト値の間をピークが速めに行き来したので、融合したピークがブロード化したことを意味します(そのブロードさ Rex を 19F-CPMG 法で検出しました)。このグラフから基質が入った時の二つのサブユニットの構造の間の交換速度は 750(基質なし)から 4,300 /sec に跳ね上がることが分かりました。
時分割 X-線結晶構造解析で得られた構造変化から、もしこれを NMR で測れば得られるであろう化学シフトの変化を SPARTA+ というソフトで計算しています。この化学シフト摂動は、活性部位と二つのサブユニットが相互作用している部位の2領域に予測されました。そして実際に滴定実験をおこない化学シフトの変化を見てみると、SPARTA で予測された位置と一致していました(1H/15N の予測はそこまで高精度ではないと思うのですが、値そのものではなく、差を見ているので大丈夫なのでしょうか?)。このことから、片方のサブユニットに基質がつくと、その情報がサブユニット間の相互作用部位を通してもう一方のサブユニットの活性部位に伝わっていくのであろうと提案されています。同時に論文には書かれてはいないですが、この一致により、実際に観られた化学シフト値の変化は構造変化によるものであり、単に基質が結合したことによって起こる、スピン周りの電磁的環境の変化によるものではない(あるいは、あっても小さい)ことをも示しています。たとえ構造変化が起こっていなくとも、リガンドが付くだけで化学シフトは変わるものです。このピークの変化を構造の変化によるものと間違えてしまわないように注意しましょう。立体構造の上でリガンドから遠く離れた部位の化学シフトが動いている場合には、その部分の構造が変化した可能性が高いと言えるのですが。
結晶構造からさらに分かったことは、基質が一方のサブユニットに付くと、もう一方の空のサブユニットは運動性が上がり、そして空のサブユニットに付いた水和水が離れるということです。基質が前者のサブユニットに固定されることにより基質のエントロピーは下がるのですが、同時に空のサブユニットのエントロピーと溶媒のエントロピーが上がり、お互いが打ち消し合うような結果となります。
自然界では、あたかも水槽に落としたインクが何も手を加えなくても独りでに広がっていくように、物事はランダムになるような向きに自発的に進んでいきます。これは多数のインク分子を一か所に集める時の配置パターンは一つしかありませんが、それらをばらばらに水槽内に配置するパターンは数え切れない程あるためです。単純に「場合の数」の問題です。これを頭に入れた上で、リガンドの酵素への相互作用を考えてみましょう。自由に泳ぎ回っていたリガンドが二量体のどちらかのサブユニットに結合して固定されてしまうわけですから、これは水に広がっていたインクが再び集まって元の滴に戻ったようなものです。つまり、エントロピーが下がります。さらに酵素側の鍵穴もそれまでは少し動いていたものが、鍵であるリガンドと結合することによってしっかりと固定されてしまうかもしれません。このような自発的には起こらないはずの「止まる」といった事を起こすには、他の箇所で「動く」という事をしてエントロピーの減少を補填してやらないといけません。しかも、同じ程度ではダメで、何処かでより多く「動く」必要があります。この動かす対象物は、特に酵素やリガンドに限る必要はありません。アンドロメダ星雲も含めた全宇宙のどこかで何かが動けばよいのです。真っ先に思いつくのは、リガンドと酵素との間の水素結合や静電的相互作用によるものです。この相互作用が生じることにより熱が発生しますので、この熱がエッペンドルフの中の水分子に与えられ、水分子がより「動く」ようになります。また、リガンドが結合していない時には相互作用部位に静かに座っていた水分子を解き放してやる方法もあります。ここで、リガンド結合の「止まる」に打ち勝つぐらいに「動く」があちこちで起これば、局所的にエントロピーは下がるものの、別の箇所でエントロピーが上がります。そして、エントロピーの合計が上がるのであれば、この相互作用は自然に進みます。
しかし、これらだけではまだエントロピー競争に負けているかもしれません。そこで、この二量体の酵素はさらなる戦略を進化させました。あろうことか相互作用していない方のサブユニットをあえてフニャフニャにしたのです(イメージが大げさですみません)。これで空のサブユニットの動きが増しました。さらに念を入れてか、なんと空のサブユニットの周りにそれまでくっ付いていた水和水を解き放してやったのです。彼らは喜んで周りに飛び去っていきました。このように空のサブユニットを作っている原子だけでなく、その表面に座っていた水和水をも自由に動き回らせてあげることにより「全体としての自由度が増し」、最初のサブユニットにリガンドが固定されるという「自由度の減少」を補填したのです。このように全宇宙の自由度(いわばエントロピー)を合計した時にそれが増すのであれば、その反応(ここでは最初のサブユニットにリガンドが付くこと)が自然に起こります。どの範囲まで足せばよいのかというのが問題ですが、厳密には宇宙全体です。しかし、この酵素にリガンドが1個つくだけで、アンドロメダ星雲の動きまで考慮しないといけないのは酷です。そこで、ここではエッペンドルフ内だけを考えることにしましょう(ITC で微弱な熱でも検出できてしまう現在では、もっと広く「宇宙」としての範囲を取らないといけません。例えばリガンドと酵素の間に水素結合が形成されることによって放出された熱が、周りの温度に影響を与えなくなる程に広くです。それ程に広い媒体を「格子」と呼びます)。
一方、反応前の基質ではなく反応後の生成物を付けてやると、apo 状態での低い B-factor(つまり、あまり動かない状態)と水和水の状態に戻るのだそうです。つまり、空のサブユニットの自由度を下げて、結合している側のサブユニットの自由度を上げるのです。そのためには、生成物を解き放ってやる必要があります。なんだかちょっとストーリーが出来過ぎのような気もしますが、この空のサブユニットの運動性が変わることによって、構造だけでなく運動性まで非対称になるという現象は CAP 蛋白質にも観られましたので、もしかすると一般的なのでしょうか?必ずしもそうではないと思いますが。
以上より、基質が一方のサブユニットに付くと、そのサブユニットと空のサブユニットとの間で構造が 4,300 /sec の速さで入れ替わる、同時に空のサブユニットが非常にフレキシブルになることが分かりました(基質が二つのサブユニットの間をこの速度で飛ぶ移るわけではない)。この辺りも CAP 蛋白質と全く同じです。次に著者らはコンピュータで RTA アルゴリズムなるものを使って計算しています。リガンドが付くことによってそのサブユニットのリガンド結合部位の構造が変わります。この変化がどのようにして、もう一方の空のサブユニットに伝わるのか、つまり「アロステリーの伝達」を計算するのです。具体的にはリガンドが結合する前後での自由度を算出して比べています。すると、apo の状態では二つのサブユニットともに rigid であったのが、リガンドが一方に付くと、空のサブユニットとの境界領域がフレキシブルになったそうです。なんだかこれもストーリーが出来過ぎに見えますが。
アロステリック効果を説明するのに、少なくとも二つの代表的なモデルがあります。Induced-fit と conformational selection です。著者らは、今回の結晶構造に後者の特徴が観られると書いています。例えば apo 体のサブユニット A では、Tyr141 の芳香環が二つの位置に観られます。一方は major な方で Trp156 から遠く離れています。他方は minor な方で、Trp156 と π スタックしています。この minor の方が基質 FAc と相互作用している時にとる予定の構造です。一方、サブユニット B では、二つの major, minor 構造はほとんど縮重して、Tyr141 と Trp156 が離れています。しかし、たいへんややこしいことに、このサブユニット B での二つの major, minor 構造はほとんど似てはいるのですが少しだけ違っており(それぞれ Bj, Bi 構造と名付けることにします)、著者らは、サブユニット A で minor 構造をとる時には、サブユニット B でも minor, Bi 構造をとる(しかし、この二つの minor 構造は大きく違う)と結論づけています。これは [19F]-Trp156 のスペクトルに二つの小さなピークが観えていることからも分かり、これらは二つのサブユニットのそれぞれの minor 構造に対応しています。これらのピークが分離して観えていることから、基質がない状態では構造交換は数秒とゆっくりです??
さて、ミカエリス複合体になると、基質が付いたサブユニット A では上記の minor 構造(Tyr141 と Trp156 が π スタック)が優勢に転じます。一方、基質の付いていない側のサブユニット B では、Tyr141 は Trp156 から離れたままです(Bj ?)。ここでも、二つのサブユニットが非対称形をとっています。そして、apo 体のサブユニット A で観られた minor 構造は、まさしく基質が付いた時の構造でした。むしろ、conformational selection を通して、そのような minor 構造が基質によって選択されたのでしょう。
また、反応中間体を模倣した構造も解析しています。その場合、サブユニット A では、再び Tyr141 と Trp156 が離れてしまいます。この構造が Bj とそっくりとのこと(この辺りの英文と図が矛盾しているように思えるのだが、誤植ではないだろうか?)。そして(図の方が正しいとすると)この反応中間体においては、サブユニット B は(空の状態で)Bi 構造をとっているようです。ちょっと複雑で何が何だか分からないのです。
すこしまとめてみますと(1)apo → 基質が付いたミカエリス複合体 → 基質が共有結合した反応中間体 → 生産物が付いた状態という過程を順に経る時に、基質が付くサブユニット A でも、空のままのサブユニット B でも構造が刻々と変わっていく(2)そのいずれのステップでも二つのサブユニットは非対称的な形をとっている(3)サブユニット A の構造と B の構造は異なるがペアを組んでおり、お互いに独立に構造が交換している訳ではない(4)基質が全くない apo の状態でも、基質が結合できるような構造がすでに 0.5% ぐらいの割合で存在し、優勢な構造と遅い交換状態にある(5)触媒反応が進むにつれて、非対称性が顕著になり構造交換が高速になる(6)最後の生産物が付いた状態で非対称性も交換速度も小さくなるでしょうか?
どうしてこのような非対称性をとるのかは不思議です。このような芸は、単量体ではできず多量体になって初めて可能な現象ですので、なぜ生体中にこのように多量体が多く観られるのかという問題にも関連しているのでしょう。一つは、空のサブユニットがよりフレキシブルになる、また、周りの水和水を開放してやることによって、もう片方の(基質が結合した)サブユニットでのエントロピーの減少を補填するという仕組みがあるのでしょう。また、早く遷移状態にもっていくことができるという理由もあるでしょう。また、この論文にははっきりとは書かれてはいませんが、このような非対称性は多くの場合、基質の結合に関して負の協同性を生み出します(反応が進まないように工夫してやると、二個目の基質は見かけ上つきにくくなる)。もともと代謝経路の制御には負の協同性が必要で、それを生み出すためにわざわざ多量体が非対称性になるような構造が作り出されたのでしょうか?それとも、酵素が触媒反応の効率を求めて多量体を非対称性になるように進化させた結果として、負の協同性が不随してきたのか、考えるほどに深遠で興味深いところです。
ここで紹介された酵素では apo 体においてすでにミカエリス体を一瞬にとるという現象 conformational selection が起こっています。よく協同性の話が教科書に出てきた時、conformational selction = MWC model, induced-fit = KNF model という構図が描かれています。しかし、MWC model では常に対称形をとることが前提となっているため、今回のように非対称形をとるような half-of-the-sites 活性をもつ系は当然のことながら MWC model には当てはまらないことになり、しいては conformational selection も起こらないのか?と誤解されてしまい勝ちです。ここは注意が必要です。
ラチェット機構?
また、今回の手法には NMR が使われてはいますが、このような時分割 X 線結晶構造解析が見せつけたその威力には脱帽です。ペラペラ漫画の各ページは X-線が描き、それらのページを順番通りに並べ、ページがめくられていくスピードを NMR が割り出したといった感じでしょうか?時分割 time-resolved X-ray 云々をサーチすると、SACLA の自由電子レーザの話がたくさん出てきます。10 億倍もの輝度?1フェムト秒以下のパルス(千兆分の1秒で合ってる?)すさまじい技術ですね。
また余計な話になってしまいますが、Seydoux の preexistent asymmetry モデル(1973, 1974)というモデルがあります。このモデルではヘテロで相互作用が無く、親和性の異なる結合サイトが最初から想定されているので、今回のようなホモ多量体は当てはまらないのかもしれませんが、これを広く解釈すると、ホモ多量体でも異なる親和性をもつ結合部位が apo 状態ですでに複数あるということになります。そのような酵素が見つかった、そして教科書に載っては後で否定されて消えていってしまいましたが、なにげなく実際にたくさん存在するのではなかろうか?と思わせてしまうところがあります。これの検出はすこぶる難しく、サブユニット間で構造が速く交換してしまっていると、NMR では化学シフトが平均化されてしまい、非対称であることが検出の窓にかかってこないのです。つまり、各サブユニットからのピークが重複しているからといって必ずしも apo で対称形であると断言してはいけないことになります。正確には化学シフトの slow-exchange の時間スケールで見る限りにおいて対称形である(fast-exchange で非対称形がお互いに入れ替わっている可能性は否定できない)といった変な結論になります。
Probing dynamic asymmetry and
protomer exchange during catalysis から
0 件のコメント:
コメントを投稿