今まで NUS については面倒でほとんど試さなかったのですが、Delaglio さんから勧められて一度つかってみることにしました。使った理由の一つとして「NUS ではなくて普通の uniform-sampiling で測定したデータでもプロセスできるよ」と言われたことも大きいです。
最初は半信半疑で 2D HSQC で試しに使ってみたのですが、これが悪くないのです。そこで、感度の悪い 3D HN(CA)CO に使ってみました。NUS ではなくて US です。したがって、いつも通り NMRPipe の Linear Prediction を 15N, 13C の両軸にかけました。ご覧の通り、二つのピークがマージしてしまっている箇所があります。蛋白質は 2H, 15N, 13C 標識されていますが、分子量は5万ぐらいで濃度は 50μM です。温度は 25度、塩が 100mM 入っていますので、それほど良い条件ではありません。
ところが、同じデータに対して NMRPipe の NUS zero-fill(IST 法)をかけてみると、その二つのピークが分離しました。
そこで、今度は本当に NUS で測定してみました。4D HCCONH です(測定法の名前に何個の C を入れるかは、あまりよく決まっていないのでは?)。まだ半信半疑でしたので、3D (H)C(CO)NH と 3D H(CCO)NH も、これらは US でとりました(何しろ良し悪しを判断するための基準となりますから)。Windows がもはや走らなくなった old-PC をもらってきて Cent-OS-6 と NMRPipe を入れスタート!すると、何やらよく分からないエラーの嵐が。。。これで何日も悩むことに。結局よく分からず Delaglio さんに尋ねました。すると「32-bit で計算しているためですよ」と言われ、たいへん恥ずかしい思いをしました。そうです、ファイルサイズが大きくなると 64-bit モードに変えないとダメなのです。やはり4次元の世界ですねえ。そこで、NMRPipe を 64-bit でインストールし直して計算しなおしました。しかし、帰宅する頃になっても終わらず、翌朝に来て見てみてもまだ計算しています。翌日の晩にも終わらずで、とうとう3日目のお昼を迎えました。終わった!恐る恐る(あまり期待しないで)スペクトルを見てみたところ、これが意外にもなかなかきれいなのです。
ここまで上手く行くようになると、NUS の欠点は、おそらくファイルサイズと計算時間だけとなるでしょう。Zero-fill をだいぶん減らして何とか 2.6 GB に抑えました。しかし、プロセスの最中に何度もデータを読み書きしているので、ハードディスクにはちょっと可哀想です。まあしかし、久しぶりにコンピュータをメール、オフィス、ウェブ以外に使うことができたので、計算機もさぞかし喜んでいることでしょう。
ここで 4D HCCONH を選んだ理由は、側鎖の帰属において 1H と 13C の間の相関を正しくとりたかったためです。3D (H)C(CO)NH と 3D H(CCO)NH の二つの組み合わせだけでは、例えば、1Hg と 13Cd の化学シフトを組み合わせてしまうような間違いが起こってしまうのです。
最後に NUS の名誉にかけて。3D-LP と 4D-NUS を見比べると、前者の方がピークがたくさんあり感度が高いように見えます。しかし、表示されている 2D plane にピークがたくさんある時には、喜ぶ前にあることを疑わないといけません。「もしかして、ひしゃげた葡萄の入った食パン一斤をスライスしてしまったのでは?」と。そうです、糖密度の高い貴腐干し葡萄が入った食パンをスライスした時には、その二次元スライスに含まれる葡萄の数はむしろ少なく見えるのです。
ここで 4D HCCONH を選んだ理由は、側鎖の帰属において 1H と 13C の間の相関を正しくとりたかったためです。3D (H)C(CO)NH と 3D H(CCO)NH の二つの組み合わせだけでは、例えば、1Hg と 13Cd の化学シフトを組み合わせてしまうような間違いが起こってしまうのです。
最後に NUS の名誉にかけて。3D-LP と 4D-NUS を見比べると、前者の方がピークがたくさんあり感度が高いように見えます。しかし、表示されている 2D plane にピークがたくさんある時には、喜ぶ前にあることを疑わないといけません。「もしかして、ひしゃげた葡萄の入った食パン一斤をスライスしてしまったのでは?」と。そうです、糖密度の高い貴腐干し葡萄が入った食パンをスライスした時には、その二次元スライスに含まれる葡萄の数はむしろ少なく見えるのです。
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