(3) 安定同位体 (フィルターにて滅菌処理)
15NH4Cl(1.0 g/L と書かれている場合も多いのですが、価格もそれほど高くはありませんので、2.0 g/L 入れるのをお勧めします。)
[13C]-葡萄糖 2.0-4.0 g/L(15N のみ単一標識する場合は、普通の葡萄糖を 4.0 g/L 入れます。良かろうと思ってあまり多量に入れ過ぎると、異化代謝産物抑制(catabolite repression)という現象により発現がストップしてしまうことがあります。Glucose が多過ぎると cyclic-AMP が減ります。すると、cAMP が CAP 蛋白質から外れます。その結果、CAP が promotor から外れて RNA-polymerase をリクルートしなくなります。特にアラビノースオペロンを使っている時にはこれが顕著に起こります。
[2H, 13C]-葡萄糖 2.0 g/L(2H, 13Cでも標識する場合、もちろんこれも 3.0 g/L 入れた方がよいのは確かです。しかし、高くつきます。)
上記を混ぜ合わせて 0.22-0.45 μm フィルターを通して滅菌します。オートクレーブは厳禁です。なお、pre-culture 100 mL と main-culture 900 mL に分けて培養する場合、main-culture に 13C, 15N 安定同位体をすぐに入れてはいけません。pre-culture の育ち具合をみて、もし何かおかしいという場合にはここで実験をストップします。高価な安定同位体を1割しか無駄にせずに済みます。
培地に何かを入れ忘れている場合も多く、その場合 pre-culture と同じように main-culture でも「やっぱり」大腸菌が育たない場合が多いです。このような場合、main-culture をどうすればよいか迷うところですが、1つは、念の為ビタミンと金属類をもう一度いれてあげて、そこから 100 mL を抜き取って培養するのがよいでしょう。ビタミンや金属類は2倍量はいっていても問題ありません。それでも育たない場合は、塩溶液とビタミン核酸溶液を熱いうちに混ぜてしまったのかもしれません。
(4) 50mM CaCl2 2.0 mL
(5) グリセロール 1.0 g (15N のみで標識する場合)
(6) アンピシリン 50-100 ug/mL
(7) 微量金属(Trace-metal)
ZnCl2 20 μM (zinc-finger 蛋白質の場合)
2 μM (zinc-finger 蛋白質でない場合)
2 μM (zinc-finger 蛋白質でない場合)
CoCl2 0.4 μM
CuCl2 0.4 μM
NiCl2 0.4 μM
Na2MoO4 0.4 μM
Na2SeO3 0.4 μM
H3BO3 0.4 μM
EDTA 25 μM
CuCl2 0.4 μM
NiCl2 0.4 μM
Na2MoO4 0.4 μM
Na2SeO3 0.4 μM
H3BO3 0.4 μM
EDTA 25 μM
論文によっては、これの 10 倍ほど濃い仕様も書かれているのですが、上記でおよそ足ります。金属蛋白質の場合は、その配位するはずの金属をもう少し加えてやらないといけないかもしれません。あまり多量に入れ過ぎるとかえって毒になってしまいます。また Se はちょっと手に入らないかもしれません。
少し探してみると、1000X ストック溶液が販売されているようでした(Sigma 92949)。これを重水に溶かした製品があればよいのですが(凍結乾燥するには面倒です)。
問題は重水培養する時です。その時のために、このストックは重水に溶かしておくとよいでしょう。
また、これら trace-metal の代わりに FeCl3 (35 mg/mL = 215.8 mM) を 500 µL ほど入れても構いません。その場合、最終濃度は 100 μM 程になります。この FeCl3 試薬の中にはちょっとの微量金属が含まれています。そのためあえて微量金属を入れなくても、このコンタミ分で足りてしまうというわけです。できるだけ安い粗雑な精製試薬を買いましょう。
(14) 下のようなビタミン原液(フィルターにて滅菌処理)を加えてもよいでしょう。5mL の水(重水)に下記の 10 倍量を溶かし、フィルター処理します。10 本のエッペンドルフに分注し冷凍しておきます。そのうち1本分を培地 1L に入れます。
葉酸 (ビタミンM) 1 mg
塩化コリン (ビタミンB) 1 mg
ニコチンアミド (ビタミンB) 1 mg
D-パントテン酸 (ビタミンB) 1 mg
ピリドキサール (ビタミンB6) 1 mg
リボフラビン (ビタミンB2, G)0.1 mg
イノシトール 2 mg
ニコチンアミド (ビタミンB) 1 mg
D-パントテン酸 (ビタミンB) 1 mg
ピリドキサール (ビタミンB6) 1 mg
リボフラビン (ビタミンB2, G)0.1 mg
イノシトール 2 mg
10 mg は耳かき半分ぐらいの量です。一つ一つを秤で測らなくても、適当に入れて 5mL の水(重水)で溶かすことで問題ないでしょう。もちろん、上記の 100 倍量を測り取り、50mL の水(重水)に溶かして 100 本に分注しても構いませんが。。。
0 件のコメント:
コメントを投稿