2014年4月23日水曜日

くっ付いてから変身しよう

もう幾分も前の話になってしまいますが「皆で一斉に移ろう」の箇所で協奏的 MWC(Monod-Wyman-Changeux)モデルをご紹介しました。この MWC モデルとセットで必ず教科書に出て来るモデルに KNF モデルがあります。

まずは、MWC モデルを復習してみましょう。あるプロトマーにリガンドが付いて構造が変わると、他の全てのプロトマーの構造も一斉に変わります。あるいは、プロトマーの三次構造はそれほどは変わらずに、相対配置(四次構造)だけが変わる場合も多いです。この場合、全てのプロトマーは全体として対称的に配置されていなければなりません(極端ですね)。この「対称 symmetry」が重要な点です。さらに、T と R の二状態だけを仮定すると、リガンド(effector 分子)が付く前からすでにプロトマーの構造は T と R 状態の間を行き来しています(交換しながら平衡に達しています)。そして、リガンドが安定な方(R 状態)を選びます。そのため、このメカニズムは population selection (shift) などとも呼ばれているのでした。

それでは、逐次 sequential モデル(Koshland-Nemethy-Filmer)に行きましょう。KNF モデルでは、あるプロトマーにリガンドが付くと induced-fit を通してそのプロトマーの構造が T から R 状態に変わります。そして、その構造変化が隣のプロトマーに何らかの影響を与えます。つまり、リガンドが付いた時に採るであろう R 構造に変わり易い状況を作ります。


しかし、ここで注意しないといけない点は、リガンドが付いていない段階では T 構造が維持され続けるという事です。リガンドが無くとも一瞬だけ R 状態にトライするなどという MWC モデルで見られる現象は起こりません(極端ですね)。したがって、リガンドが何個か付いてはいるが、まだ満たされていない時には、一つの複合体の中に R と T が共存することになり、協奏的 MWC モデルのように、全体として対称形になる必要はありません。図では、リガンドが付いていないのにプロトマーの形が変わったかのように描かれていますが、そうではなくて、そのリガンド無しの T 状態のプロトマーが、リガンドが付いた R 状態の隣のプロトマーからサブユニット間の相互作用を通して何らかの影響を受けていることを示しています。

また、逐次 KNF モデルでは、induced-fit の名の通り、リガンドが付いて初めて構造が変わります。したがって、リガンドの付いた R 状態のプロトマーが存在した場合、その隣のプロトマーが上とは逆の影響を受けて induced-fit が起こり難いようになれば(T 状態になるべくいさせるような、R 状態に移りにくくさせるようなサブユニット間相互作用が作られれば)、むしろ次の同種のリガンドが付きにくくなるわけです。これは、R と T が共存できるという仮定があるので成り立つのです。

実は、協奏的 MWC モデルだけでは、negative な(負の)homotropic effect が説明できません。Homotropic negative cooperativity とは、あるリガンドが結合すると、同じ種類の次のリガンドの親和性が落ちる現象です。

協奏的モデルにおいて、リガンドが R 状態の方に付き易いとします。これはつまり、R 状態での親和性が大で、R 状態での複合体が安定だということです。T 状態にリガンドは付き難いので、どんどんリガンドの付いた R 状態の数が増えていきます。そして、全てのプロトマーが一斉に R 状態に変わるので、2個目、3個目のリガンドは、どんどん増えていく R 状態にますますくっ付いていくことになります。そのため、必然的に homotropic な positive cooperativity(正の協同性)が起こり、homotropic な negative cooperativity(負の協同性)が起こる条件が有りません。この話は同種のリガンドの場合に限ります。

また「タコいか変化」でご紹介した HT モデル(HT: Hilser-Thompson)では、各プロトマーの構造変化のきっかけを、逐次モデルのような induced-fit に限定していません。つまり、R と T 状態の間の交換は、リガンドが付く前からすでに平衡状態の中に存在します(R 状態 : fold, T 状態 : unfold)。したがって、population-selection のような事が起こっています。そして、もし、リガンドが親和性の高い R 状態に結合した場合に、そのプロトマーの構造変化が隣のプロトマーを、親和性の低い T 状態に抑え込むこともできます。そのため HT モデルでも homotropic negative cooperativity が説明できます。

2014年4月18日金曜日

陽子は霞や雲のように薄く

最近は固体 NMR でも蛋白質の 1H 核スピンを FID として直接観測するようになってきました。ただし、微結晶のように、立体構造がかなり均一な状態で固まっている場合に限ります。凍結乾燥後の粉末などでは、少しずつ違った構造が入り交じってしまっているので駄目です。

1H はやはり感度が高い、これに尽きます。しかし、1H どうしの双極子相互作用が邪魔をしてしまい、やはり蛋白質の全ての水素を 1H の状態で計るのはまだちょっと難しい(報告は出ているようですが)。そこで重水素化の登場です。

Sinnige T, Daniëls M, Baldus M, and Weingarth M. (2014) Proton clouds to measure long-range contacts between nonexchangeable side chain protons in solid-state NMR. J. Am. Chem. Soc. 136 (12), 4452-4455.

過去 25 年間に溶液 NMR による立体構造決定で対象となる蛋白質がどんどん大きくなってきたのですが、今回のような論文を読んでいると、つくづくこれはその溶液 NMR の方法論の発展の過程と同じだなあと思ってしまいます。

今回紹介された方法(1H-cloud, 陽子雲?法)では、D2O の M9 最少培地に 2g/L の [2H]-glucose を入れておきます。そして、[13C, 15N] で標識された目的のアミノ酸(例えば、Leu, Val)を 200 mg/L ずつ加えて大腸菌に蛋白質を発現させます。あれ?これは溶液 NMR では選択的標識の際に普通に使ってきた方法ではなかったでしょうか?

一方、1H の数を減らすのに RAP 法と呼ばれる方法も発表されています(Asami, et al. (2010) J. Am. Chem. Soc. 132, 15133 )。この RAP 法では、[2H, 13C]-glucose を培地に入れますが、培地は例えば 10% H2O / 90% D2O のような組成にしておきます(あれ?これも 20 年前によくなされた方法では?)。この方法の方が RAP 法の名前(Reduced Adjoining Protonation)が示す通り、隣り合った水素が 1H どうしとなる確率を減らすことができます。それに対して、陽子雲法では Leu, Val のアミノ酸内で 1H が隣り合ってしまいますし、疎水性コア領域でも Leu, Val がひしめき合っています。そのため、RAP 法の方が 1H の線幅を狭くすることができます。もっとも、陽子雲法でも 1GHz 以上の静磁場で MAS を 90 kHz 以上に回すと大丈夫だそうですので興味のある方はちょっと試してみてください(今回の論文では 60 kHz(@700MHz)程度で回しています。速いですね)。

このように 1H-cloud 法では、1H が特定の希望したアミノ酸のみに偏ってはいるものの、磁化移動は 1H-1H spin-diffusion(溶液 NMR での NOE に相当)などで可能なようです。

一応、代謝過程におけるアミノ酸のスクランブルには注意しないといけません。例えば、Ser, Cys, Gly などは、どれか一つの [1H, 13C, 15N] 標識アミノ酸を入れたつもりでも、3つ同時に混ざってしまうでしょう。どのようなアミノ酸がスクランブルを起こし易いかは Fig. S4 にまとめられています。

ところで、固体 NMR で 1H を FID 検出するとなると水消しはどうするのだろう?と思ってしまいます。溶液 NMR ですと WATERGATE が有名ですが、固体では何と MISSISSIPI という方法があるようです。また、パワーの弱い decoupling には PISSARRO という方法を使うそうです。なんとも面白い命名に笑ってしまいます。

2014年4月16日水曜日

少量の活性化状態をつぶす

2012 年 1 月の RRR-workshop にお呼びした Kalodimos さんですが、今回も非常に面白い論文を出しています。ちなみにギリシャ人とのことです。

Tzeng, S.R., and Kalodimos, C.G. (2013) Allosteric inhibition through suppression of transient conformational states. Nat. Chem. Biol. 9, 462-465.

対象となる蛋白質は教科書の lac-operon に必ず出てくる CAP 蛋白質です。大腸菌内で glucose の量が少なくなってくると、cAMP が増えてきます。すると、これが CAP 蛋白質に結合し、この複合体は lac-operon DNA の制御部位を認識して結合します。すると、RNA polymerase が引き寄せられて lac-operon の転写が on になり、lactose を栄養として利用できるようになるという仕組みです。

野生体 WT の CAP は cAMP 存在下でのみ DNA に付くことができます。一方、CAP*(T127L, S128I) 変異体は、このような effector-分子が無い状態では WT-CAP と同じように DNA に結合できない形を採っているように見えます。ところが、DNA を混ぜてやると cAMP が無いのにもかかわらず DNA に結合します。この謎を明らかにしたのがこの論文です。

実は、CAP*(T127L, S128I) 変異体は、effector-分子が無い状態では DNA に結合できない形(93%)と結合できる形(7%)の間を行き来していることが NMR R2 relaxation displersion の実験から分かりました。この 7% という比率が小さいために、普通に NMR を測定すると、前者の結合できない形ばかりが目立って観えてしまいます。これが上で「WT-CAP と同じように DNA に結合できない形を採っているように見える」と書いた故です。また、この緩和分散法から算出された CAP* の化学シフト値の差は、WT-CAP でのフリー状態と cAMP 結合状態での化学シフト値の差とよく似ています。つまり、CAP* の 7% の構造は、(DNA と結合できる)WT-CAP-cAMP2 の構造と似ていることになります。

この 7% の active 構造が DNA と特異的に相互作用します。DNA をどんどん加えると、平衡により active な構造が常に 7% になるように inactive な構造から補給されますので、cAMP が無い状態でも CAP* 変異体と DNA はどんどん複合体を形成していきます。

しかし、cGMP がつくと DNA に結合できない形だけに固定されてしまうようです。実際、R2 relaxation dispersion が消えてしまいます。すると、DNA を加えても何も起こりません。この仕組みが構造の面から説明されています。

変異により疎水性残基(Leu127, Ile128)が増え、これが他の近くの疎水性残基とともに疎水性クラスターを形成して C-ヘリックスが一巻き長くなるようです。もちろん、長くなった C-ヘリックスをもつ構造は全体の 7% に過ぎません。しかし、これが DNA と結合できる active 構造なのです。

ここに cGMP を入れると、これはこの疎水性クラスターを壊してしまうため、ヘリックスが WT-CAP と同じ長さに戻ってしまいます。そのため、もはや DNA に結合できなくなってしまうのです。

cAMP (cGMP) が付く場所と DNA が付く場所は立体構造の上では離れており、cGMP による DNA への結合の阻害は(付く場所が同じ時の競合阻害ではなく、付く場所が異なる)アロステリック阻害(allosteric inihibition)です。そして、基底状態の構造は何も変えずに(相互作用するという)反応の途中にある一瞬だけ存在するほんの少量の活性状態を不安定化させて無くしてしまうことにより、反応そのものを阻害することができます。

今までの構造生物学的手法では、基底状態の構造がどのように変化するかをおもに観てきました。しかし、ほんの少しの遷移構造をターゲットとすることにより、このようなアロステリック阻害が可能となってくるという事実はたいへん衝撃的です。

2014年4月7日月曜日

上下に揃えて待たせておく

メチル基だけを 13C/1H で標識すると、Methyl-TROSY を使うことができ、高分子でも NMR でそのメチル基の信号を観ることができるようになります。問題は、どのようにしてメチル基を帰属するかです。もちろん、ピークが観えるだけでも、リガンドが付いたかどうか、構造が変わったかどうかなどは分かるのですが。

一つの案は、一つ一つのメチル基を別のアミノ酸に置換していき、2D 1H-13C HSQC での信号の変化を観る方法です。しかし、大きな蛋白質になると、変異体を何十個も作らないといけないことになり、それなりに大変でしょう。

もう一つの方法は、メチル基と 13Ca, 13Cb あるいは、メチル基と 13Co との相関スペクトルをとる方法です。今回の下記の論文は後者の方法を少し改良した内容です。

Tugarinov V, Venditti V, Marius Clore G.A (2014) NMR experiment for simultaneous correlations of valine and leucine/isoleucine methyls with carbonyl chemical shifts in proteins. J Biomol NMR Jan; 58(1), 1-8.

今までは、Val 用のパルス系列と Ile/Leu 用のパルス系列は別々でした。それは、Val は γ の位置がメチル基であるのに対して、Ile/Leu では δ の位置がメチル基だからです。つまり、後者の方が主鎖から対象となるメチル基に至るまでの側鎖の炭素の数が一つ多いのです。

すると、13C から 13C へと同種核の間で磁化(コヒーレンス)移動させていった場合に、もし、Ile/Leu 用パルス系列を Val に適用すると、磁化移動が一結合分だけ行き過ぎてしまうことになります。今回の論文はこの問題を解決しています。

そのためにこのパルス系列(SIM-HMCM(CGCBCA)CO)では、選択的パルスを至るところに使っています。例えば、ある 90度パルスは Val の 13Cα には届かないように工夫がなされています。幸い Val の 13Ca の化学シフトは少し離れているためにこの方法が使えます。これによって、Val の磁化をパルス系列の途中で少し一時停止させておき、Ile/Leu の磁化移動を一段階進めさせるのです。すると、ゴール地点である 13Co にはほぼ同時に辿り着きます。

待たせている間に磁化が緩和するともったいないですので、待機の間は磁化を z 方向に揃えておきます。T2 よりも T1 緩和の方が一般的に遅いですので、これで磁気緩和による損失をかなり抑えられるのです。

そのようなパルス系列ですので、この選択的パルスの長さや強さを間違えてしまうと、うまくスペクトルが出ないことになります。やはり、Tugarinov さんならではのパルス系列なのかもしれません。

なお、メチル基と 13Ca, 13Cb の間の相関スペクトルだけでもかなり帰属が進みますが、やはり高分子になってくると、13Ca と 13Cb の化学シフトが両方とも重なってしまうことがあります。この時に 13Co も手掛かりにできると良いことは、主鎖の連鎖帰属の場合と同じです。

また、13Ca, 13Cb はメチル基の3つの水素(さらに、その他の側鎖の水素)が重水素化されているかどうかによって化学シフト値が微妙に違ってきます。いわゆる同位体シフトです(メチル基には水素が3つありますので、同位体シフトの大きさは3倍になります)。もちろん 13Co も同位体シフトの影響を受けるのですが、 メチル基からは遠いですので、メチル基の水素が 1H か 2H かの影響はほとんどありません。ただし、溶媒が軽水か重水かによって、アミド基の水素が 1H か 2H かの違いが生まれ、これが3結合以内の核(したがって 13Co も入る)の化学シフト値をずらせてしまいますので、溶媒による若干の影響は出てきます。

ところで、各アミノ酸の化学構造および各原子の呼び名はややこしいでしょう。NMR の論文では、下記の命名法に従おうということになっていますので、是非この PDF を PC の中に常駐させておいてください。

Markley JL, Bax A, Arata Y, Hilbers CW, Kaptein R, Sykes BD, Wright PE, Wüthrich K. (1998) Recommendations for the presentation of NMR structures of proteins and nucleic acids. IUPAC-IUBMB-IUPAB Inter-Union Task Group on the Standardization of Data Bases of Protein and Nucleic Acid Structures Determined by NMR Spectroscopy. J Biomol NMR Jul;12(1), 1-23. あるいは Eur J Biochem Aug 15; 256(1), 1-15.

書いたまま途中で放っておいたブログ原稿がいっぱいあります。数ヶ月経つと書いた本人ですらその内容を忘れてしまう有様ですので、なんとか早く日の目を見られるように急いでいるところです。ますます図から遠のいてしまいますが。

2014年4月6日日曜日

毒が溜まってきたら放り出す仕組み

非常にばたばたとした一週間でした。まるで一ヶ月ぐらいがすでに経ったような気分です。気が付くと、もう桜が散りかけており、いつ桜が満開だったのかを覚えていないような状況です。

さて、ダイナミクスが関連したアロステリック効果を解析した論文として、tetracycline repressor(TetR)を採り上げたいと思います。

Reichheld, S.E., Yu, Z., and Davidson, A.R. (2009) The induction of folding cooperativity by ligand binding drives the allosteric response of tetracycline repressor. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. Dec 29, 106(52), 22263-22268.

この同じ号の 22035 ページに、分かり易い解説と図が載っていますので、この図を見ながら論文を読まれると理解し易いでしょう。

リプレッサーは、DNA のオペレータ領域にくっ付く蛋白質で、mRNA への転写を抑えてしまいます。教科書に載っているように、さまざまなリプレッサーがありますが、今回はそのうちの一つです。

リガンド(抗生物質)であるテトラサイクリン(Tc)が無い状態ですと、この TetR の DNA 結合領域はフレキシブルで、DNA にちゃんと相互作用することができます。ここの箇所は感覚的に?と思われるところでしょう。というのは、オペレーターDNA 領域へは特異的に相互作用する必要があります。ところが、TetR のフレキシブルな領域がこの DNA の配列をちゃんと認識するという点が不思議なところです。

生物学的には、テトラサイクリンが菌体内に増えてくると、この TetR が DNA のあるオペレータ領域から外れてしまいます。すると、TetA と呼ばれる蛋白質がたくさん発現してきます。この TetA は膜蛋白質でテトラサイクリンを細胞外へ排出する役目を持っています。

Tc が TetR にくっ付くと、この Tc 結合部位と DNA 結合領域との間に立体構造における協同性が生じ、この DNA 結合領域が rigid(安定状態とも書かれています)になります。その時に DNA を掴む二つの手の幅が major-groove の幅よりも広くなって固定されてしまうため、DNA にもはやくっ付けなくなってしまうのだそうです。ちなみに TetR はホモ二量体で、それぞれに DNA を掴むための手が一本ずつありますが、両手でないとうまく掴めないようです。

Tc が付く場所と DNA 結合領域とはもちろん距離的に離れています。ただし、両者は疎水性残基のコアを通して結ばれています。もし、Tc が無いと、この疎水性コアのパッキングがゆるゆるになってしまい、ちょうど車のクラッチが外れたような状態になります(エンジンを回せど車輪は回らない)。一方、Tc が付くと、緩くなっている原因の隙間が埋まり(オイルサーディンがあの缶かんの中に隙間なくびっしりと詰まった状態に同じ)、クラッチが繋がったような状態となって、遠く離れた DNA 結合領域にまで構造的な(ダイナミクス的な)変化が伝わるのでしょう。缶の中から真ん中辺りに寝ているミニサンマを一匹取り去ってしまうと、もう右端のサンマを突っついても、左端のサンマは動かないのと同じですね。

少し前に MWC-モデルをご紹介しました。そこでは R 状態と T 状態の2状態の間で平衡があり、effector 分子が付くと、その平衡がどちらか(その effector 分子がくっ付きたい方)に偏るのでした。今回の TetR の例はこれとは全く異なるようにも見えますが、実際にはリガンドが無いフレキシブルな状態(多形状態)を T 状態に、リガンドが付いた静止状態を R 状態に置き換えると似た現象を示しているのかもしれません。ただし、リガンドが付いていないアポ状態が disordered(特定の構造を採らない、つまり、多形でフレキシブル)だと、この allosteric 効果が大きくなることは、少し前の HT-モデルで示しましたのでご覧ください。