2018年11月16日金曜日

魚の腐った匂い

ながらく倉庫に眠っていた Mono-Q カラム。「これまだ使えるかな?」と思って HPLC に繋いで水を流した途端、何気なく「鰹節」の匂いがしました。「はて?」と思いつつ鼻をカラムの出口に近づけたのが最悪で、もうかれこれ数時間が経ちますが、まだ頭痛が続いています。

そういえば、誰かが先月「同じ箱にある古いカラムを流路に繋げたらアンモニアの匂いでまいっちゃった」などと言って騒いでいましたが、あまり取り合いませんでした。しかし、今この部屋中に充満した匂いは凄まじく、部屋のドアを開けたら開けたで今度は廊下を歩いている人から「何事か?」と覗かれる始末です。そこで、ちょっとググってみました。

「anion-exchange chromatography bad smell」

一杯出てきました。どうも陰イオン交換 Q 樹脂が分解されて「トリメチルアミン」という物質が出来てしまったようです。それがちょうど、よりによって腐った魚の匂いだそうで、ものすごく少量(5 ppb ぐらい)でも悪臭になるのだとか。確かに服や手にまで染み付いてしまったようで、今晩はどうやって電車で帰ろうかと悩んでいるところです。手を何度も洗ったのですが、まだ腐った魚の匂いがします。

確かに Q レジンの先には (N+)(CH3)3 がありました。負に帯電した蛋白質などが、このレジンの正電荷と静電的相互作用でくっ付くのです。これが外れるとトリメチルアミンそのものです。「Hofmann 脱離」と引くと、その脱離反応の詳細が出てきました。が、それよりも今は頭痛のため、読んで理解するどころではありません。

そういえば 20 年以上前、誰かが SDS-PAGE 用の TEMED(テトラメチルエチレンジアミン)を冷凍庫から出した時に手を滑らせ落として割ってしまった時のことを思い出しました。建物中の人が集まる程の魚の腐敗臭が翌日も続きました。

さて、どうやって帰ろうか。1時間歩いて帰るしかなさそうです。